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学生たちの熱い夏 学生フォーミュラ初参戦

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学生たちの熱い夏 学生フォーミュラ初参戦

【プロローグ】
2018年6月25日、日産京都自動車大学校は、新た取り組みとして『学生フォーミュラ活動』への参戦を発表し、活動を開始した。学生フォーミュラ大会は、アメリカを発祥とした学生自身がレーシングカーを設計・制作・競技・スポンサー集めを行う「学生版F1」。本校は1年以上の活動期間を経て、2019年大会にEV(電気)クラスで出場した。
 
第17回学生フォーミュラ本大会は公益社団法人自動車技術会主催のもと、2019年8月27日から31日の5日間にわたり、静岡県で開催された。参加登録チームはガソリンエンジンクラスが80校、EVクラスが27校、計107校となった。
 
大会は1日目から3日目までが車検審査で、プレゼンテーション審査、機械車検、電気車検が行われる。すべての審査に合格したチームだけが4日目から5日目の走行審査に進むことができる。車の製作だけでなく、走行性能や制作コスト、デザインのプレゼンテーション能力も試され、走行審査に進むのに数年かかることもあるといわれるチャレンジングな大会である。現に今大会EVクラスにエントリーしたチームの内12チームは車両のシェイクダウン(テスト走行)ができず、大会に参加できていない。
 
日産京都自動車大学校チームは、学生10、教員2名が前日入りし、1日目午後の開会までに残りの25名の学生も教員2名の引率で現地入りした。
また、3年生5名も現地にて「自動車開発・製作セミナー」を受講するため、1日目夕方に現地入りした。
 
【1日目 8月27日】
プレゼンテーションを実施した。感触としては「何とかやりきった」という感じ。(結果は別だが)
 
車両の状況は、出発直前までバッテリー対策を行い、また起動回路にも問題が発生し、現地で回路作成用の部材を用意するという状況。バッテリーが未だ搭載されていないこと、現場でその他のご指摘を受け、明日午前中までは修復の時間にあてる。
明日は、午後から車検を予約するが、機械的な部分、電気的な部分、充電設備の安全基準など数々の修復が必要なので一発では通ることは極めて困難な状況。また、コスト、デザイン審査も実施される。学生らはそれぞれの役割でベストを尽くしてくれるだろう。
 
【2日目 8月28日】
電気車検0(電気系の基本的な部分)をパス、続いて機械車検をパスした。電気車検は0~2まであるので、明日続きの車検を受ける。
また、特筆なのは、機械車検の検査員リーダから、「日産校は今回初めて出場で、ここまでの出来栄えはすごい。コレで走るところまでいければほんと凄いこと」と言っていただいたこと。併せて「これまで何年も出場している学校でもEVに変えたことで、シェイクダウンもできていない学校もある。また、既に実施済みの中国、韓国のクルマと比べても出来がよい。」といわれた。
 
予定していたデザイン審査は、車両修復、作成に時間を費やし、キャンセルとなったのでポイントはつかないが、明日からの車検パスに狙いを絞る。なお、3年生も本日より自動車開発・製作セミナーを2日間に渡り受講している。
 
【3日目 8月29日】
本日は、電気車検1を13時30分から受けた。従来所要時間30分のところ、延長して2時間をかけご指摘を受けた。結果として、ご指摘の修復を行ったあと再確認いただくまで時間を費やしてしまい、電気車検1を何とか通過という形で本日は終了した。
 
本日中にすべての車検をクリアできなかったために、明日以降の動的審査(走行)を受けることができないたいへん残念だが今回の挑戦はこれまでとなった。走行できず。学生の中には、テント裏での終礼時に涙を浮かべる者もいた。
 
これまで限られた時間のなかで手探りしながらここまで(電気車検0⇒機械車検⇒電気車検1)来られたのは日産自動車の方をはじめ様々な方にご指導、ご支援があったこともさることながら、学生らが自分たちでやってやろうという気持ちとエネルギーがあったからだと感動した。車検でご指摘を受けるたびに、学生らは、それをリカバリーするためにまっすぐに総がかりで作業をした。学生個々が責任を感じて目の前の困ったこと(課題)を解決していくという経験と、力が及ばなかったという現実から悔しさを経験したことは大変有意義だった。
 
明日は、フォローアップ(正式ポイントにはならないが参考データや修正が必要な場所を洗い出す)をお願いし、出来るだけノウハウを持って帰ることとした。走行はできないが電気車検2、その他の審査項目を、最終日まで安全、健康第一として、やれることを出来る限り全てやって帰る予定。
 
なお、3年生は自動車開発・製作セミナー 2日目を受講し、次年度用車輌についての知識を習得して帰校した。
 
【4日目 8月30日】
朝7時の時点では雨と落雷により会場入りできず、駐車場で待機、当初のスケジュールに対して全体が1時間遅れで動く形となった。
 
本日は、フォローアップとして、電気車検2とフィードバック、チルト確認(車両を横向きに傾けて、油脂類の漏れ、さらに傾けて転覆の有無確認)を実施して頂いた。また、4輪を車両重量計で計測し、設計通り前後バランス40対60 総重量355Kg(ドライバー除く)ということを確認した。学生らは相当勉強と経験値が上がったと思う。
 
本日は次年度この活動を引き継ぐ3年生が見学に無事現地入りし、他校のテント、動的試験を見学した。「来年は完走しかない」という現場の空気を感じたようだ。
 
【5日目 8月31日】
朝の会場入りした時点では、小雨だったが、その後晴天となり非常に暑い1日となった。
 
電気車検2まで進めず動的審査は受けることができないので本日は他校の見学と自校ブースの片付けとなった。
 
また、本日は日産校ブースに坂本副社長が訪問され、学生リーダの錦織が当校の取り組みと、製作した車両説明を行った。坂本副社長からは「やるからには勝つことにもこだわるように」と全員に向けてメッセージもいただいた。
 
14時頃に会場を後にし、全員無事に帰校した。
 
NMLの方々、スポンサーの方々、保護者、教職員、様々な人に支援、手助けしていただからこそ出場までこぎつけられたこと、力及ばずという現実を目の当たりにして、悔しい思いをしたことは学生らにとって本当に貴重な経験だと思う。
 
彼らの熱い夏は終った。だが3年生への引継ぎも兼ねて、走ることができなかった車両をテスト走行として走らせるまで年内を目処に3年、4年合同で進めて行く。また、次年度は完走を目指して、今回の経験をしっかりと振り返り、「勝つこと」もひとつのテーマとして計画をしていく。
 
多くの皆様の多大なる御支援、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
また引き続き今後ともよろしくお願いいたします。
 
日産京都自動車大学校

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